妖精の女王様。名前は出てきません(恐れ多くも女王陛下ですから至極当然)。気品にあふれ、厳しく強い女王様です。
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女王様! |
珠玉のナンバー揃いの星と花の伝説、アーサーとフローラを見送った女王様が歌う「夢を届けて」もすてきな歌です。厳しい女王様が最後になって奥底に秘めていた優しい心でアーサーとフローラの未来を祝福して歌います…というふうに最初は思っていました。
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三拍子の雄大なアリアです |
が、歌詞をちゃんと聴くと、“大切な命”を捨てたルルの“小さな夢”が、アーサーとフローラのいる星の世界まで届くようにと願う、女王様の悲痛な祈りの歌だということがわかります。歌が「夢を届けて」からアーサーとフローラの「星の世界」に移ったとき、アーサーとフローラの方に気を取られると、そこで単純に「ああ、よかった」なんて思ってしまいますが、女王様とエルザおばさんは、実はそのときもまだ悲しそうな面持ちのままでいます。真のハッピーエンドはその後。
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依然深い悲しみの中にある女王様とエルザおばさん |
何度かフェアリーランドシアターに足を運んで、このシーンで(アーサーとフローラではなく)この二人の様子を観る余裕ができて初めて、「星の世界」の後のラストシーンの意味をきちんと理解できました。
このエンディングへの展開を踏まえて全体をさらによく観ると、序盤のルルのせりふや「いつか届く」の歌詞もこのラストシーンにつながる伏線になっていることがわかります。これらが心の中で一本につながって、「ああこれはルルのストーリーなんだ」と気づいたときには震えました。SomedayIIの主人公がニコルとマリアでありながらアレグロの成長を描くストーリーであったように。
まだ星と花の伝説の上演が始まって1カ月。これからも新しい発見があれば何か書いていきたいと思います。